コンテンツ文化史への誘い

コンテンツ文化史学会会長・吉田正高のブログです。 

『復元・江戸情報地図』1995年、朝日新聞社

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早稲田大学の教育学部を卒業し、同大学の大学院文学研究科に進学するわけですが、正式に入学する前に2年ほど(いろいろあって・笑)ブランクがあります。その間も大学院のゼミに顔をださせていただいておりましたが、そこで先輩から紹介されたアルバイトが『復元・江戸情報地図』のお手伝いでした。

 

「沿革図書」や「諸向地面取調書」といった江戸御府内に関する幕府の地図資料を統合し、さらに現代の東京市街図を重ね合わせることで、江戸と東京の地理的な連続性・非連続性を直感的に把握できるようにした画期的な本でした。

 

私は、作図を担当されたイラストレーターの中川惠司さんのところで、地図上に表現された江戸の寺社の坪数が、「寺社書上」(旧幕引継文書・当時は大部分が未翻刻)などの幕府史料の記載と合致しているかどうかを確認していくという、かなりマニアックな作業をしておりました。

 

もともと、卒業論文に「江戸の流行神」を選ぶぐらい、江戸の寺社には大変に興味があったわけですが、ここでのお仕事を通じて、江戸全域における寺社の地理的位置づけや寺社名を具体的かつ包括的に把握できるようになったというのは、のちの修士論文、さらには研究論文を執筆する上で、大変に重要な基礎となったと実感しております。

 

また、はじめて参加させていただいた歴史系のアルバイトでしたので、刊行された書籍の奥付に「協力者」として自分の名前がクレジットされたのをみた時の感動は、今でも忘れられません。

 

『復元・江戸情報地図』

http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=846