『法光寺跡』1995年、新宿区法光寺跡調査団
前述の『復元・江戸情報地図』に続き、これも大学院のゼミの先輩から新宿遺跡調査会のお手伝いの仕事を紹介していただきました。
ご存知のとおり、東京都内の区部で工事をすると、江戸時代の遺跡が出てくる場合があります。その調査は、もちろん考古学のグループが主体となって行われるわけですが、文献資料がそれなりに多く残されている近世期の場合、遺物・遺構に加えて、文献史学サイドからの調査を実施する必要があり、そのあたりのお手伝いをさせていただくことになりました。
法光寺は、江戸時代には四谷坂町通りに存在した日蓮宗の寺院で、現在は荒川区日暮里に移転しています。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%95%E5%85%89%E5%AF%BA_(%E8%8D%92%E5%B7%9D%E5%8C%BA)
なお、報告書の正式名称は『NTT電話線地下埋設工事荒木線No.3マンホール改修工事に伴う緊急発掘調査報告書』です。
遺跡は同寺のかつての墓地にあたる部分で、人骨、円形木棺なども出土しました。最初にお手伝いさせていただいたのが、この木棺の蓋の部分に書かれている文字を解読するという作業だったと記憶してます。
「南無妙法蓮華経為過去精霊盂蘭盆供養也」と墨書された小型の卒塔婆が多数出土したことから、私は「江戸における盂蘭盆習俗」という部分を執筆をすることになりました。江戸時代の随筆資料を中心に6頁と短くまとめましたが、いま読むと超固い文章で恥ずかしいです。それと6頁中、引用注が2頁分42項目あるという、生真面目すぎて青臭い内容になってます(照)
報告書っていうものに文章を書くのは初めての経験でしたので、とても緊張していたことを思い出します。
この後、数年間にわたって、新宿遺跡調査会でのお仕事をさせていただくことになります。
『法光寺跡』