コンテンツ文化史への誘い

コンテンツ文化史学会会長・吉田正高のブログです。 

『若松町遺跡』1996年、新宿区遺跡調査会

報告書の正式名称は「新宿区若松町特別出張所等区民施設建設工事に伴う緊急発掘調査報告書」。

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発掘地域には、江戸時代を通じて、5家の旗本が拝領地を交代しながら居住していました。そこで、文献調査担当の私は、まずは調査区域を拝領していた5家の旗本の家系の調査を行い、さらに若松町に居住する前と後の居住地の変遷を確認し、江戸時代におけるこの地域の意義や位置づけを考察しました。

 

基本史料として、①『寛政重修諸家譜』、②『御府内沿革図書』、③『諸向地面取調書』の3つを用いましたが、より詳細な点を詰めるために、江戸での菩提寺に保存されている過去帳や墓石の銘、さらにかつての旗本知行地へ出張して関連史料を調査し、詳細な家系図を作成しました。

 

それらの情報を総合し、最終的に各旗本家の江戸での居住地の変遷を、下記のように図化しました。

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近世遺跡、とりわけ江戸における近世遺跡への文献史学サイドからのお手伝いとしては、きわめてオーソドックスな内容ですが、5つの旗本家の転居前後の年代と、転居当時の当主名との間に齟齬がある場合もあって、整合性をはかるのが難しく、部屋中を家譜や墓石銘の写真だらけにしながら家系図、転居図、さらに文章をまとめていきました。

 

余談ですが、知行地への調査の一環として、岐阜県土岐市へ出張しましたが、ここで夕食に食べた飛騨牛の焼肉、安くて美味しくて最高でした(笑)

 

『若松町遺跡』

http://ci.nii.ac.jp/ncid/BN14766343